腹部の病気の症状と手当て 家庭の医学

 腹部の病気は日常よくみかけます。食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、直腸などの消化管の病気はもちろんのこと、肝臓、胆嚢(のう)、膵臓、副腎、腎臓、膀胱(ぼうこう)、腹膜(ふくまく)などの病気も含まれ、非常に広範囲です。
 また、腹部の症状は、消化器以外の病気でも起こります。泌尿器科、婦人科の病気のみならず、全身の病気が関連し心臓や肺の病気でも腹部の症状を呈することがあり、広範囲の病気を念頭に置かなければなりません。このように複雑ではありますが、腹部のおもな症状から、おおよそ病気の見当をつけることができます。
 腹部の病気の症状は、吐き気や腹痛に下痢が伴っていたり、下痢と血便があったり、さまざまな症状が複数出る場合も多くあります。また、これらの症状は健康な人にもしばしば生じます。
 腹部の病気の大半は、ようすをみていれば治るものですが、なかには手術など緊急の対応をしなければならないものや、検査をして悪性かどうかを調べなければならないものもあり、注意が必要です。
 症状がすぐ改善しない場合は、早めに病院に行き、医師の診察を受ける必要があります。

(執筆・監修:国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院 名誉院長 大西 真)