血管炎による腎臓病〔けっかんえんによるじんぞうびょう〕 家庭の医学

□ANCA(抗好中球形質抗体)関連血管炎
 現在この疾患群には、①顕微鏡的多発血管炎、②多発血管炎性肉芽腫症、③好酸球性多発血管炎性肉芽腫症があります。
 これらの疾患に共通しているのは、顕微鏡で見える太さの血管に炎症や血栓が形成され、それらによりさまざまな臓器に障害を生じることです。いずれの疾患でも腎臓に障害が生じた場合には肉眼的血尿は少なく、ほとんどの例で潜血反応が陽性になります。したがって、症状としてなかなか気づかれないのもこの疾患の特徴といえます。
 わが国では顕微鏡的多発血管炎が高齢者を中心にみられます。全身倦怠感、発熱、体重減少などの症状で発症することが多く、発見されにくいことも多いので注意が必要です。腎臓に関連するものとして、尿潜血反応陽性、たんぱく尿、または軽度の血清クレアチニンの上昇がみられます。しかし、この段階で発見されないと腎機能障害が緩徐に進行し、しばしば透析療法が必要になって見つかることもまれではありません。
 また、腎臓以外では肺に関連する症状が多くみられます。喀血、血痰、空咳、息切れなどの症状があり、CT(コンピュータ断層撮影)検査では肺胞出血や間質性肺炎をみとめます。この疾患ではMPO(ミエロペリオキシダーゼ)ANCAが陽性になることも特徴です。多発血管炎性肉芽腫症ではC-ANCAが陽性になることが多いとされています。
 治療は副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬であるシクロホスファミドで症状が軽快することも多くみられます。また、重症な場合は血漿交換療法もおこなわれます。分子標的治療薬のリツキシマブも最近では使用されています。ごく最近になり、選択的C5a受容体拮抗薬アバコパン(タブネオス®)が顕微鏡的多発血管炎と多発血管炎性肉芽腫症に対して使用できるようになり、特に副腎皮質ステロイドの投与量を減量し、副作用の軽減につながることが期待されています。
【参照】薬物療法

□紫斑性腎炎
 小児でよくみられるのが、紫斑(しはん)性腎炎です。腹痛をうったえることが多いのですが、尿検査をすれば血尿がみとめられます。また、大腿部に紫斑をみとめる場合もあります。全身の血管が炎症を起こしているため、皮膚に紫斑があらわれるのです。腎臓自体はIgA腎症と似た変化を示します。
 紫斑性腎炎はIgA腎症と腎臓自体の変化は似ていますが、治療は全身の血管炎として考え、積極的に副腎皮質ステロイド薬により治療することが必要です。時には血漿交換療法などの適応にもなります。

(執筆・監修:医療法人財団みさき会 たむら記念病院 院長 鈴木 洋通)
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