多発性嚢胞腎〔たはつせいのうほうじん〕

 常染色体優性遺伝による病気で、1000人に1人程度いるとされています。腎臓に多数できた嚢胞(液体のたまったふくろ)が周囲の腎組織を圧迫していき、その結果、腎臓の機能がだんだんと低下します。
 腎機能の低下がはじまるまでは無症状のことが多く、時に血圧が高いことがあります。しかし、腎機能の低下とともに典型的な慢性腎臓病(CKD)と同様にむくみや高血圧が出現します。
 この病気にかかったすべての人が透析療法に移行するわけでありませんが、20歳ころからすこしずつ腎機能が低下しはじめ、40歳から50歳にかけて透析療法が必要となる人が多くみられます。肝臓や卵巣にも嚢胞ができます。問題となることはほとんどありません。
 治療は通常の慢性腎臓病と同じで、降圧治療と食事療法が主体となります。最近、利尿薬であるバゾプレシンV2受容体拮抗薬が腎機能障害の進行を抑制することがわかり使われるようになってきています。

(執筆・監修:医療法人財団みさき会 たむら記念病院 院長 鈴木 洋通)
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