医学の窓辺

常染色体優性多発性嚢胞腎に関する包括連携協定
日本腎臓病協会と大塚製薬が締結

●腎臓の難病・希少疾病である常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)の疾患啓発および診療水準の向上を図るため、包括連携協定を締結
●慢性腎臓病は国民の健康寿命を損なう要因であり、中でも、遺伝性の指定難病であるADPKDについては、早期診断、病態悪化の予防、正しい疾患知識の普及啓発などが必要
●日本腎臓病協会と大塚製薬は、それぞれの強みや蓄積された経験等を生かして連携協力し、患者さんやご家族への貢献を目指す

柏原日本腎臓病協会理事長(右)と芹生大塚製薬取締役


 NPO法人 日本腎臓病協会(所在地:東京都、理事長:柏原直樹、以下「日本腎臓病協会」)と大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:樋口達夫、以下「大塚製薬」)は、腎臓の難病・希少疾病である常染色体優性多発性嚢胞腎(以下「ADPKD」)の疾患啓発および診療水準のさらなる向上を図るため、本日、包括連携協定を締結しましたのでお知らせします。

 日本腎臓病協会は、日本腎臓学会、日本透析医学会、日本小児腎臓病学会が中心となり日本腎臓財団、日本医師会の協力を得て発足し、慢性腎臓病(CKD)対策に取り組んでいます。医師、看護師、栄養士、薬剤師などの多職種によるチーム医療のために「腎臓病療養指導士制度」を立ち上げ、その育成・運営にあたっています。また、アカデミアと関連企業、行政等が連携しうるオープンイノベーションのプラットフォームとして「Kidney Research Initiative-Japan(KRI-J)」を立ち上げ、腎臓分野におけるオールジャパン体制で有効な薬剤・診断薬・機器の開発も目指しています。

 大塚製薬は、世界の人々の健康に貢献する革新的な製品を創造するという「Otsuka-people creating new products for better health worldwide」の企業理念のもと、人々の健康を身体全体で考えるトータルヘルスケアカンパニーです。医療関連事業では、中枢神経領域、循環器・腎領域、がん領域を最重点領域として研究開発に取り組んでいます。今まで治療薬がなかった腎臓の難病であるADPKDに対する治療薬を開発し、その適正使用のための情報提供活動や疾患啓発活動を行うなど、患者さんとご家族、医療従事者に貢献しています。

 CKDは脳卒中、心臓病、認知機能障害とも関係しており、国民の健康寿命を損なう要因となっています。その中で指定難病の1つであるADPKDについては、早期発見、適切な診断、正しい疾患知識の普及啓発など、医療従事者、行政、企業が連携して、総力で取り組む必要があります。このたび締結した本協定により、日本腎臓病協会と大塚製薬は相互に高い倫理観を保持しながら独立性を保ちつつ、それぞれの強みや蓄積された経験等を生かして、次に掲げる事項について連携し協力してまいります。

<連携事項>
(1) ADPKDの早期診断、病態悪化の予防に関する事項
(2) ADPKDの疾患の認知率向上に関する事項
(3) ADPKDの診療ネットワークの拡充に関する事項
(4) ADPKDの患者・その家族の生活等の満足度向上に関する事項
(5) その他、両者で合意したADPKDに関する事項
両者は上記に定める連携事項を効果的に推進するため、定期的に協議し、具体的な取り組みについて決定および実施してまいります。

<ご参考>
常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)について
 ADPKDは、遺伝子の変異により両側の腎臓に多数ののう胞(液体が詰まった袋)が進行性に発生・増大し、腎臓が何倍にも大きくなり、腎機能が徐々に低下していく遺伝性の病気です。多くの場合は30~40歳代以降に症状が現れ、血尿、腹痛・腰背部痛、腹部膨満などが見られます。また、腎機能が低下する前から高血圧を合併することが多く、脳動脈瘤や肝のう胞なども高い頻度で合併します。腎機能が低下してくると腎移植または透析が必要となり、60歳までに半数近くの患者さんが末期腎不全に至ると言われています。ADPKDは最も頻度の高い遺伝性腎疾患であり、わが国の疫学調査の結果では約4,000人に1人が患っていると推定されています。

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