ファブリー病〔ふぁぶりーびょう〕 家庭の医学

 伴性劣性遺伝による病気で、多くは男性に出現します。糖脂質の代謝障害により、代謝されずに残った糖脂質が腎臓、心臓、目をはじめ、時にリンパ節や神経節に蓄積し発症します。ガラクトシダーゼAという酵素が欠けていることが原因です。
 また、血管壁に糖脂質が蓄積すると血管壁が厚くなり、血管の内腔(ないくう)が狭くなります。これが原因で、神経症状(四肢の痛みや知覚異常)や皮膚症状(点状の皮疹〈ひしん〉など)が小児期から出現する場合があり、これらは比較的早期に見つけられます。
 ファブリー病による腎障害は血尿やたんぱく尿だけという例が多いのですが、その時点で見逃されるとのちに透析導入となる場合もあります。

[診断]
 家族歴の聴取を中心に、最近ではα-ガラクトシダーゼA活性の測定で確定診断を下します。

[治療]
 このガラクトシダーゼAを用いる遺伝子治療がおこなわれるようになってきました。国の特定疾患治療研究事業対象疾患(難病)に指定されており、医療費の公費負担対象になっています。

(執筆・監修:医療法人財団みさき会 たむら記念病院 院長 鈴木 洋通)
医師を探す