[尿路の構造とはたらき]

 腎臓と尿路(尿が通る道)を形成する一連の臓器・器官を泌尿器と総称します。尿は腎臓で血液からつくられ、腎臓の中の腎盂(じんう)という部分で集められてから、尿管という約20cmの細い管を通って、下腹部にある膀胱(ぼうこう)まで達します。尿を出すときには、尿は膀胱から尿道への入口(内尿道口)を通って尿道に入ります。男性の尿道は、前立腺の中、外尿道括約筋(かつやくきん)の中、そしてペニスの尿道海綿体の中を通って出口(外尿道口)で外に出ます。この間の尿道の長さは約20cmとなります。女性は前立腺やペニスがないので、尿道長は約3cmと短いです。
 泌尿器のはたらきは、腎臓でつくられた尿を体外に排出することです。人では社会的要請により尿をする場所は限られていますので、「社会的に適切な時と場所で体外に排出する」というのが正しいでしょう。膀胱に尿をためている間は、膀胱はゆるみ外尿道括約筋が閉じているので尿は漏れません。尿がある程度までたまると尿意が起こります。排尿をするときは、尿道括約筋がゆるんで尿の通り道を開くとともに、膀胱の筋肉が収縮して膀胱内の圧力を上げて尿を出します。
 なお、腎臓の上方には副腎があり、各種のホルモンを分泌しています。副腎は泌尿器ではありませんが、位置的な関係から副腎の手術の多くは泌尿器科でおこなわれています(副腎の病気)。

(執筆・監修:東京大学大学院医学系研究科 教授〔泌尿器外科学〕 久米 春喜)