家庭での応急処置について

 とにかく冷静に飲んだ本人をよく観察します。意識、呼吸、そして脈拍を確認し、次のような場合にはすぐ救急車を呼びます。

●救急車を呼ぶ目安
 ・意識がない
 ・けいれんを起こしている
 ・呼吸状態がおかしい
 ・脈が異常に速い、あるいはおそい
 ・脈が触れづらい


 呼吸をしていない、脈が触れない場合は、心停止の可能性があり、救急医療機関の要請を、ハンズフリー・フォンでおこないながら、胸骨圧迫を始める必要があります。意識がしっかりして、生命徴候に問題がなければ、下記の表のような応急処置を実施します。手当て
 いずれにせよ、原因物質がなにで、食べたのか、飲んだのか、あるいは吸入したのかを、冷静になって観察し、ボトルや薬の包装が残っていれば、医療機関に提出する準備をします。

●家庭での応急処置
中毒を起こす物質代表的な家庭用品 吐かせる水を飲ませる牛乳を飲ませる
ニコチンたばこ×××
石油製品灯油、除光液×××
殺虫剤・防虫剤樟脳、なめくじ駆除剤××
酸・アルカリ漂白剤、トイレ洗浄剤×
界面活性剤洗剤、シャンプー、せっけん×
乾燥剤・除湿剤石灰×


□食べる、または飲んだ場合
 口の中に残っていれば、取り除き、口をすすぐようにします。無理に吐かせる処置(催吐)は、おこないません。特に、石油製剤(ガソリン、石油、除光液など)や酸/アルカリ性剤(漂白剤やトイレ用洗剤)、防虫剤・なめくじ駆除剤などは、洗浄行為そのものが状態を悪化させるので、絶対にしてはいけません。
 酸・アルカリ性剤を飲んでいる場合は、牛乳を100~200mL程度飲ませると、粘膜への刺激性を軽減する作用があります。血中アルコール濃度と臨床症状

□吸い込んだ場合
 窓を開ける、換気扇を回すなどの換気と、きれいな空気な場所への移動を実施します。

□目や皮膚・粘膜に付着した場合
 目に付いた場合は、こすらずに、すぐ水道水を流したまま、こすらないように目を10分以上洗浄します。眼鏡・コンタクトは、原則はずしますが、特にコンタクトの除去がむずかしい場合は、医療機関をすみやかに受診します。
 皮膚・粘膜への付着は、すぐに大量の流水で洗浄します。いずれにせよ、介助者が、中毒物質に曝露されないように、原因物質のにおいをかいだり、直接触れたりすることがないように注意が必要です。

(執筆・監修:筑波大学附属病院救急・集中治療科 教授 井上 貴昭)