薬物・毒物中毒の応急手当て 家庭の医学

 意識障害が高度のときは、嘔吐による窒息や誤嚥(ごえん)性肺炎を起こしやすいです(意識障害とは)。安易に吐かせたり飲ませたりしてはいけません。まずは横に寝かせて回復体位にします。そして、救急車の到着をまちましょう。
 もし、薬瓶のラベルに、「吐かせる、あるいは牛乳を飲ませるように」などの指示がある場合は、その指示に従います。吐かせる方法は、まず少量のぬるま湯を飲ませて吐きやすくし、小児だったらおなかを抱えてもち上げ、下向きで頭を低くするような姿勢をとり、のどの奥を指で押すようにします。大人では、似たような姿勢をとってもらっておこないます。
 しかし、腐食性毒物(硫酸、塩酸、硝酸〈しょうさん〉、水酸化ナトリウムなど)や石油製品(ガソリン、灯油、軽油)は、安易に吐かせると重篤な合併症を引き起こす危険性が高く、吐かせずに救急車の到着をまちましょう。

(執筆・監修:社会医療法人恵生会 黒須病院 内科 河野 正樹)

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