全身疾患と関連する腎臓病 家庭の医学

解説
 腎臓病のなかには、ほかの臓器の障害や免疫疾患、代謝疾患あるいは心血管系障害などに伴って発病するものがあります。ここでは代表的な疾患をあげておきます。

(執筆・監修:医療法人財団みさき会 たむら記念病院 院長 鈴木 洋通)
コラム

DKDについて

 最近、DKD(Diabetic Kidney Disease=糖尿病性腎臓病)という言葉が使われ始めています。以前糖尿病腎症(Diabetic Nephropathy)が透析導入に至る割合が高いことから課題となってきました。糖尿病腎症は糖尿病を基礎疾患として微量アルブミン尿からたんぱく尿そして腎機能障害が出現し、透析導入に至る疾患で、その進展を阻止する有効な手段がないことより、大きな問題とされてきました。
 しかし最近、糖尿病であっても上記のような典型的進展過程をたどらない腎疾患が注目されるようになってきました。現時点では、このような腎疾患はすべて糖尿病性腎臓病として取り扱われています。糖尿病腎症は腎臓の病理組織にも基づく確立された疾患でしたが、糖尿病性腎臓病はかなり広い範囲で疾患を包括しています。慢性腎臓病という言葉が提唱され、それには糖尿病と非糖尿病という分け方がされてきましたが、糖尿病性腎臓病は慢性腎臓病とどう区別するのか現時点ではあまり明確ではありません。
 糖尿病は日本糖尿病学会が提示している明確な定義がありますので、ひとまずは日本糖尿病学会で糖尿病と定義でき、かつなんらかの慢性腎臓病の定義にあてはまる疾患、と考えておくのがよいと思います。
 したがって、治療においては糖尿病、高血圧、脂質異常症を優先し、そこに従来おこなわれてきた慢性腎臓病の治療(減塩、減たんぱくなど)を組み合わせていくといったところではないかと考えられます。

(執筆・監修:医療法人財団みさき会 たむら記念病院 院長 鈴木 洋通)