新型コロナウイルスの水際対策が終了し、ゴールデンウイーク(GW)初日となった29日、国内の空港や観光地には多くの人が押し寄せた。「やっと海外に行ける」「人出はコロナ前以上」。旅行客や観光業者からは喜びの声が上がった。
 羽田空港(東京都大田区)の出発ロビーは大きなスーツケースを抱えた人々でごった返した。チェックインカウンターや保安検査場には長蛇の列ができ、職員が「最後尾はこの先です」などと声を張り上げた。
 東京都品川区の会社員王娜さん(39)は小学5年の娘(10)を連れ、中国・南京に帰省する。戻るのは2019年12月以来といい、「家族や友だちに会える」とほほ笑んだ。
 埼玉県和光市の会社役員男性(56)は、昨年結婚30周年を迎えた。1年越しとなる記念旅行は6泊8日でイタリア4都市を回る計画で、「やっとです」と顔をほころばせた。妻(56)も「食事が楽しみ」と声を弾ませた。
 到着ロビーでは、大田区の会社員ペルジェ弘美さん(29)が、フランス人の夫ジョスランさん(31)の両親を出迎えた。3年ぶりの再会を抱き合って喜び、「浅草や鎌倉など『ザ・日本』な所に連れていきたい」と話した。
 渡月橋や天龍寺などの観光名所で知られる京都・嵐山も観光客であふれた。土産物店の男性店員(27)は「コロナ禍前より人が多く、我慢していた旅行熱が爆発したようだ。今後も流れは変わらないのではないか」と驚いた様子。竹製品専門店の女性店員(83)は「たくさんの人が来てくれてありがたい。私も旅行に行きたいが、忙しくて無理」と苦笑いした。コロナ禍後初めて日本を訪れたという韓国人の会社員女性(52)は「これまでに10回ぐらい日本を訪れた。今後も風景や文化を楽しみたい」と話した。 (C)時事通信社