緑黄色野菜や果物に多く含まれる抗酸化物質「カロテノイド」について、妊婦の血液中の濃度が高いほど、生まれた子のアトピー性皮膚炎の発症リスクが低くなる可能性があることが16日、千葉大大学院などの調査で分かった。研究成果は3月、国際医学誌の電子版に掲載された。
 千葉大大学院医学研究院の井上祐三朗特任准教授(小児アレルギー)らは、2010~11年に生まれ、家族にぜんそくアトピー性皮膚炎などの患者がいる乳児267人とその母親を対象に血液や母乳を分析。カロテノイドの一種で、パセリやモロヘイヤなどに多く含まれるルテインや、トマトなどに含まれるリコピンなどの濃度を測定した。
 出生時体重などの影響を除いて解析した結果、妊娠時(36週)の血液中のルテイン濃度が高いほど、子どもが1歳を迎えた際のアトピー性皮膚炎の発症リスクが低かった。子どもの血液中のリコピン濃度でも同様の傾向が出た。
 一方、母乳に含まれるルテインなどの濃度との関連性は見られなかった。もともと母乳内での濃度が低いことなどが理由とみられる。
 井上氏によると、妊婦の野菜や果物の摂取が子のアトピー性皮膚炎の発症予防に効果がある可能性が示されたのは世界初という。井上氏は「ただ、単純に野菜や果物をたくさん食べればいいわけではなく、他とのバランスが大切だ。摂取量と予防効果との因果関係は今後の研究課題だ」と話している。 (C)時事通信社