古都・奈良の観光名物「奈良のシカ」が鹿せんべいをもらう際にする「おじぎ」の回数を調べた結果、新型コロナウイルスの感染拡大期に減少していたと、奈良女子大と北海道大の研究グループが明らかにした。コロナ禍による外出自粛で、観光客が減少したことが原因とみられる。研究結果は29日までに米科学誌プロスワンに掲載された。
 「奈良のシカ」は、奈良公園(奈良市)や周辺に約1200頭生息する野生のニホンジカで、国の天然記念物。園内のドングリや植物が主食で、観光客が「おやつ」としてあげる鹿せんべい欲しさに「おじぎ」のような行動を取ることで有名だ。
 研究グループは、シカせんべいをあげる観光客が多い東大寺南大門など3カ所で、集まってくるシカの数やおじぎの回数を調査。コロナ禍前のデータを活用し、感染拡大後の変化を調べた。
 その結果、シカの頭数は、2019年は1回の調査で平均167頭だったが、20年は同65頭に減少。人間が鹿せんべいを見せている間にシカがおじぎをする回数は、16年9月~17年1月では1頭当たり平均10.2回だったが、20年6月~21年6月だと同6.4回まで減少した。
 観光客が特に少なかった20年7月は、同2回程度まで激減。観光客数に連動して増えたり減ったりする様子が見られた。
 奈良女子大の遊佐陽一教授(動物生態学)は「おじぎの回数が短期間でここまで変化するとは予想外だった」と話し、「人間の増減に合わせて臨機応変に対応するシカの行動が観察できた」と述べた。 (C)時事通信社