人工多能性幹細胞(iPS細胞)を大学・研究機関や企業に提供している京都大iPS細胞研究財団(山中伸弥理事長、京都市)は14日、ゲノム編集技術を使って拒絶反応のリスクを低減した臨床用iPS細胞を作製し、同日から提供を開始したと発表した。
 細胞の拒絶反応は白血球型抗原(HLA)の型が異なる場合に起こり、これまで提供していたiPS細胞が適合するのは日本人の4割ほどだった。より多くの人に対応するiPS細胞の提供が可能となることで、再生医療全体の拡大が期待されるという。
 ヒトのiPS細胞は山中氏が2007年に作製に成功。京大のiPS細胞研究所が15年に拒絶反応を起こしにくい白血球の型を持つ人の血液からiPS細胞を作製して研究機関や企業への提供を始め、研究財団が事業を引き継いでいた。
 今回提供を開始するiPS細胞は、ゲノム編集技術で免疫細胞に関する遺伝子を改変し、拒絶反応のリスクが抑えられるという。
 研究機関や企業には30万個のiPS細胞が入った容器1本を20万円で、非営利機関には無償で提供する。 (C)時事通信社