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「不治の病」ではなくなった白血病
タイプによって治療に難易度

 かつてはがんと同じような「不治の病」の代名詞として、映画やテレビドラマなどでもたびたび名前を聞くこともあったのが白血病だ。現在では治療法も進み、適切な治療が成功すれば、治癒(完治)も期待できるようになった。日本競泳界女子のエース、池江璃花子選手(18)が発病。自ら病名を公表したことで関心は急激に高まり、日本骨髄バンクへの問い合わせが相次ぐなど大きな反響があった。ただ、発見できないレベルに一度減少した白血病細胞が再び増加を始めた場合など、いまだに厳しい結果となるケースも少なくなく、白血病をめぐる実情が十分に知られているとは言えない。

白血病を公表した池江璃花子選手


 ◇貧血や感染症を頻発

 東京慈恵会医科大学の矢野真吾教授(腫瘍・血液内科)は「白血病は『血液のがん』とも呼ばれるように、血液中の赤血球や血小板、白血球などを造り出す造血器の遺伝子に後天的な異常が生じ、未成熟な白血病細胞が過剰増殖することで起きる」と話す。血液中の正常な細胞が減少し、体の各臓器を構成する細胞に酸素を送ったり、体外から侵入した細菌などを排除したり、血管の破損を補修できなくなったりする―など体に大きな影響を及ぼす。

 ◇「急性」「慢性」「骨髄性」「リンパ性」

 具体的な症状としては、慢性的な疲労感や息切れ、感染症にかかりやすくなる 、内出血や点状出血が多発することなどが挙げられる。放置すると危険な状態を招く厳しい病気だ。しかも、加齢につれて発病者が増加する他のがんと異なり、子どもから若年期の発病も多い。池江選手もその一人だが、自覚症状が出る前に発見するのは難しいといわれる。

 「白血病は、病状が5年から10年かけて進行する 『慢性』と、発病後数カ月で危険な状態に陥る『急性』に分類されるが、慢性の患者が急に病気が進行し『急性』と診断されることもある。一方、白血病化した細胞に応じて『骨髄性』と『リンパ性』に分類される。こちらは治療薬と予後が異なるが、進行する速度に大きな違いはない」。矢野教授は、こう説明する。

矢野真吾・東京慈恵会医科大学教授

 ◇急性でも7割が「寛解」

 急性の場合でも、 患者の70%が抗がん薬治療で血液中の白血病細胞が顕微鏡検査で目視できないレベルまで減少し、血液細胞が正常な状態に回復する「寛解」という状況に持ち込むことができる。

 その一方で、矢野教授は「治療がそこで終わるのではないことは知っておいてもらいたい。『寛解』に持ち込んでも、この状態を維持するための追加の治療を行わないと、再び白血病細胞が増加し始める『再発』が起きる可能性がある。これは寛解に入ってから1年以内が多く、5年間は経過観察が必要だ」と強調している。一度再発してしまうと、抗がん薬治療だけで治癒するのは難しく、骨髄移植が有効な選択肢となる。

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