治療・予防

高齢化で増えている多発性骨髄腫
適切な治療で長期コントロールも(国立がん研究センター中央病院血液腫瘍科 丸山大医師)

 多発性骨髄腫は血液のがんで、リンパ球(白血球)の一種である形質細胞ががん化する病気だ。加齢とともに増加し、社会の高齢化を反映して患者は増加傾向にある。国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)血液腫瘍科の丸山大医師は「多発性骨髄腫は治癒が難しい病気ですが、適切な治療で病状の長期コントロールが可能です」と語る。

自覚症状で多いのは、骨の痛みや貧血を伴う倦怠感

 ▽高齢発症、原因は不明

 血液は、骨の中心にある骨髄の中の造血幹細胞から作られる。形質細胞は、細菌やウイルスに対する抗体を作る役割を担うが、がん化すると骨髄腫細胞となって増え続け、骨や臓器に障害を起こす。原因ははっきりと分かっていない。丸山医師は「多発性骨髄腫は喫煙や飲酒などの生活習慣、アスベストなどの環境的な要因との因果関係はないとされ、遺伝的な要因も明らかになっていません。男性にやや多いです」と説明する。発症の頻度は人口10万人当たり約5人、血液のがん全体の約10%を占め、65歳以上の発症が目立つ。

 最も多い自覚症状は、腰や背中などの骨の痛みや貧血を伴う倦怠(けんたい)感だ。骨髄腫細胞は骨を作る骨芽細胞の働きを抑え、骨を破壊する破骨細胞を活性化させる。骨のカルシウムが血液中に溶け出して高カルシウム血症や背骨の圧迫骨折などを招く。「軽くぶつけたり寝返りを打ったりしただけで骨折することもあり、骨折から多発性骨髄腫が判明することもあります」と丸山医師。骨髄腫細胞が産生する「Mタンパク」という異常なタンパク質が、腎機能を低下させたり血液をドロドロにしたりする。免疫力が低下するため、感染症にもかかりやすくなる。

 ▽自家移植や薬物治療

 治療は、一般的に65歳未満を対象とした自家造血幹細胞移植(自家移植)を行う場合と、自家移植をせずに化学療法のみを行う場合とに大別される。Mタンパクが検出されても無症状の「MGUS」や「くすぶり型(無症候性)骨髄腫」であれば経過観察となる。

 自家移植は、最初に化学療法を行い、次に患者自身の造血幹細胞(自家造血幹細胞)を採取して凍結保存する。引き続き、大量の化学療法で体内の骨髄腫細胞を死滅させ、自家造血幹細胞を解凍して患者の体内に戻し造血機能を回復させる。治療後は安定状態を保つ維持療法が行われることもある。化学療法のみの場合は、新規薬剤を併用する方法が主流で、高い治療効果が望めるという。新薬の開発研究も盛んに行われている。

 丸山医師は「近年では、微量な骨髄腫細胞の残存を検査できるようになり、より正確な治療効果の判定が可能になっています。治療の選択肢は数多くあるので、再発しても主治医とよく相談して、自分に合う治療に臨んでください」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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