財務省は30日、政府の事業が効率的に行われているかどうかを点検する予算執行調査の結果を発表した。全額国費負担の新型コロナワクチン接種について、今年度の全国の接種回数見通しが前年度比約5割にとどまるとして、「適切な事業規模への見直しが必要」と指摘した。
 また、介護サービス事業者の経営状況についても改善を要求。これらを含めた計28事業の改善点を列挙した上で、各省庁に対し、2024年度予算の概算要求に反映させるよう求めた。
 新型コロナワクチンは、国費で無料となる「臨時接種」として21年2月から接種が始まった。財務省は、集団接種事業に関する自治体の監査も不十分だと指摘した。
 介護サービスを担う社会福祉法人の経営状況については、預金や積立金の水準が上昇しているにもかかわらず、「一部の法人で職員の給与に還元されていない可能性がある」とし、職員の処遇改善に向け各法人に自助努力を促した。
 24年度には、診療報酬と介護報酬のダブル改定が予定されているが、政府は少子化対策の財源確保に向け徹底した歳出改革を行う構え。今回の調査結果は、両報酬の引き上げを目指す医療の現場にとって厳しい内容となっている。 (C)時事通信社