総務省が26日に公表した住民基本台帳に基づく1月1日現在の日本人人口は、全ての都道府県で減少となった。地域の活力維持に向け厳しさは増している。自治体では少子化対策の強化に加え、地域外の人との継続的な「関わり」を拡大して、活性化を模索する動きも広がっている。
 未婚化や晩婚化に加え、コロナ禍で婚姻数が減り、厚生労働省が6月に発表した人口動態統計で2022年の出生数は初めて80万人を割り込んだ。想定を上回るペースで人口減が進み、地方部などでは地域社会の維持が難しくなる恐れがある。
 こうした中で各自治体は23年度、少子化対策を強化する予算を多く計上。岸田政権も「異次元の少子化対策」を掲げる。
 人口動態統計で22年の出生数が7年ぶりに増加に転じた鳥取県は、不妊治療や小児医療費の支援などを全国でも早い段階から実施。県子育て王国課の担当者は「一つではなく、さまざまな事業の積み重ねがあり、子育てしやすいイメージにつながっているのではないか」と分析する。
 足元の取り組みでは「関係人口」に着目する自治体も増えている。岐阜県飛騨市は20年から「ヒダスケ!」と銘打ったプロジェクトを展開。「農作物の収穫作業の人手がほしい」「草刈りを手伝って」といった地域の困りごとを県外の人らに助けてもらい、作物や交流イベントなどを組み合わせた「オカエシ」を提供するプログラムをつくり、これまでに約2800人が参加した。
 プログラム後も独自に参加者と地元のつながりが生まれたケースもあるが、移住については「大きな人生の決断になる。必ずしも狙っていない」(担当者)といい、あくまで関わりを重視する。この担当者は「人口のパイの奪い合いではなく、関わってくれる人とうまく関係を築きつつ、地域を元気にしたい」と強調している。 (C)時事通信社