耳の聞こえにくい高齢者との交流を促進するため、奈良県河合町の介護付き有料老人ホーム「奈良ニッセイエデンの園」は入居者向けの窓口に「軟骨伝導イヤホン」の導入を決めた。同イヤホンは全国の自治体や金融機関などで利用が広がっているが、老人ホームへの導入は全国初という。
 奈良県立医科大の細井裕司学長が発見した「軟骨伝導」技術を応用。耳の軟骨を振動させて音を伝える仕組みで、従来の補聴器よりも音漏れがせず、長時間使用しても痛みが少ないという。
 4日に同ホームを訪れた細井学長は、耳の聞こえにくい約1400万人のうち約1200万人は補聴器を使っていないと指摘。「軟骨伝導イヤホンを利用して人の話を理解しようとすることで、脳が活性化されて認知症予防につながる」と期待を示した。
 入居者の小井陽子さん(75)は「とても聞き取りやすい。耳が聞こえづらくなっていたのでこれから利用しようと思う」と笑顔で話した。
 枡田悦弘総園長は「園内には難聴などで困っていた方も多い。1人でも多くの方の役に立てたら」と話した。 (C)時事通信社