新型コロナウイルス感染症の重症化で、全身の血管に血栓ができ、多臓器不全につながることが知られているが、大阪大と東京医科歯科大、武田薬品工業などの研究チームは6日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った血管組織を使い、感染により血管に炎症が起き、血栓が作られる仕組みを解明したと発表した。
 成果は重症化予防薬の開発につながると期待される。論文は同日、米科学誌セル・ステムセルに掲載された。
 大阪大の武部貴則教授らは、ヒトiPS細胞から直径約1ミリのミニチュア血管組織(オルガノイド)を作製し、ウイルスを感染させることに成功。この組織をマウスに移植すると血栓も形成され、病態を再現できた。
 さらに、感染後の遺伝子の働きを網羅的に調べたところ、免疫反応を助ける「CFD因子」が活発になっていることが判明した。サルを使った実験で、この因子を抑える薬を投与すると免疫反応が弱まり、血管の炎症や血栓形成が抑えられた。 (C)時事通信社