東京医科歯科大は9日、失明リスクのある「強度近視」の患者の長期的な視力低下や視覚障害のリスクを高い精度で予測する方法を人工知能(AI)を使って開発したと発表した。失明予防の治療などにつながる可能性がある。論文は同日までに、海外の眼科関連の学術誌に掲載された。
 強度近視は、近視よりも眼球の長さが伸び、視力低下などを引き起こす。網膜剥離緑内障などの合併症を発症して失明につながることもある。近視の人は世界的に増加しており、海外の研究グループによると、2050年には全世界の人口の約半数が近視となり、強度近視は約1割にまで増加すると推計されている。
 東京医科歯科大の大野京子教授(近視、網膜疾患)らのチームは、同大で診察を受け、初診時は正常な視力だった症例計813例の診察時の情報や眼底写真などのデータをAIに学習させた。
 その結果、86%の正答率で、眼鏡などで矯正しても5年後に視力が0.5未満になるリスクを判断できた。また、別の症例を学習させたモデルでは、3年後と5年後の矯正後の視力をそれぞれ68%、66%の精度で予測できたという。
 大野教授は「強度近視の患者は、今は視力が良くてもいつか合併症を発症して失明するのではとの不安を抱えている」と指摘。「障害のリスクや将来的な視力を予測することで、患者の不安軽減にもつながるのではないか」と話した。 (C)時事通信社