東北大発のベンチャー企業「サウンドウェーブイノベーション」(東京)は16日、超音波を脳に当てることでアルツハイマー病の進行を抑える効果を検証する臨床試験(治験)を開始したと発表した。対象は軽度のアルツハイマー病患者と、発症前の軽度認知障害(MCI)の患者で、全国17の医療機関で実施。参加者220人を募集する。
 同社創業者の下川宏明東北大名誉教授らのチームは、脳内の血管内皮細胞が振動刺激を受けると、さまざまな酵素などが活性化することを発見。マウスの脳に超音波を当てる実験で、アルツハイマー病の原因とされる異常なたんぱく質「アミロイドβ(ベータ)」の蓄積が抑制されたり、血管が再生されたりする作用を確認した。
 同社は、ヘッドセットのようにこめかみに取り付ける超音波発信器を開発。2018年から患者を対象にした少人数の治験(探索的治験)で安全性と一定の有効性が確かめられた。
 今回の治験(検証的治験)は26年までの3年間で、対象者を増やして有効性を最終確認する。同社は28年の実用化を目指すとしている。 (C)時事通信社