セルビア・University Clinical Center of SerbiaのKristina Davidovic氏らは、腰痛患者321例を対象に椎間板内への経皮的CTガイド下酸素・オゾン混合ガス注入療法の長期有効性を前向きランダム化比較試験(RCT)で検討。その結果、治療後2年間の全ての追跡調査時点において、ステロイド注入群と比べてオゾン注入群およびステロイド+オゾン注入併用群で疼痛スコアが有意に低下(改善)したとDiagnostics2023; 13: 3370)に発表した。

疼痛を評価するNRS、GPSの両スコアが有意に改善

 同試験では、18歳以上で経口鎮痛薬および理学療法に抵抗性を示す腰痛を有する患者321例を登録。CTガイド下で椎間板内に酸素・オゾン混合ガス注入を行うオゾン群(36例、平均年齢52.9歳、男性52.8%)、ステロイド注入を行うステロイド群(35例、同51.7歳、60.0%)、両者を併用するオゾン+ステロイド群(250例、同51.3歳、60.8%)にランダムに割り付けて治療し、治療後2年間追跡した。

 主要評価項目は、Numeric Rating Scale(NRS)スコア(0~10点)およびGlobal Pain Scale(GPS)合計スコア(疼痛、疼痛に関連する感情、臨床転帰、日常生活動作の合計スコア0~100点)で評価した疼痛の重症度とした(いずれも高スコアほど重度の疼痛)。

 解析の結果、3群の平均NRSスコアはベースラインでは有意差がなかったが(オゾン群7.14±2.3点、ステロイド群6.94±2.4点、オゾン+ステロイド群6.58±2.2点、P=0.229)、治療後は30日(同2.22±2.3点、5.00±2.2点、1.50±2.0点)、90日(同1.28±2.1点、5.80±1.9点、1.08±1.7点)、180日(同1.53±2.3点、6.00±2.0点、1.18±2.0点)、1年(同1.11±2.3点、6.09±2.0点、1.15±2.0点)、1.5年(同1.08±2.2点、6.11±1.9点、1.10±2.0点)、2年(同1.03±2.2点、6.26±1.8点、1.09±2.0点)の全時点でステロイド群と比べて、オゾン群およびオゾン+ステロイド群で有意に低かった(全てP<0.001)。

 平均GPS合計スコアについても、ベースラインでは3群で有意差がなかったが(オゾン群61.1±22.7点、ステロイド群57.7±21.2点、オゾン+ステロイド群57.9±22.2点、P=0.604)、治療後は30日(同11.3±11.3点、42.3±22.4点、9.5±14.5点)~2年(同2.0±4.4点、62.5±17.0点、3.3±6.5点)の全時点でステロイド群と比べて、オゾン群およびオゾン+ステロイド群で有意に低かった(全てP<0.001)。

早期・短期効果を有するステロイドとの併用で相乗効果

 オゾン群とオゾン+ステロイド群の平均NRSスコアは治療後30日時点でのみ有意差が認められ、オゾン+ステロイド群のスコア低下幅が有意に大きかった(P=0.047)。また、ステロイド群の平均NRSスコアおよび平均GPS合計スコアは治療後30日時点で最低値となり、治療後2年時点ではベースラインと比べて有意な改善が認められなかった。

 これらの結果から、Davidovic氏らは「ステロイド注入の効果は早期に発現し持続期間が短いのに対し、オゾン注入の効果は遅れて発現するが長く持続し、腰痛の治療において両者の併用が相乗効果をもたらすことが示唆された」と結論している。

太田敦子