生活保護の基準引き下げを違法と断じ、国に賠償を命じた名古屋高裁判決を受け、原告や弁護団は30日、名古屋市内で記者会見した。原告の無職沢村彰さん(57)=愛知県豊橋市=は「やっと認めてもらえた」と逆転勝訴を喜んだ。
 沢村さんは2009年ごろから生活保護を受給していたが、引き下げで生活は苦しくなり、食事を1日1食に減らした時期もあった。コーヒーを3杯飲んで空腹に耐えたと振り返り、「国は何も考えてくれなかった」と不満を漏らした。
 判決は生活保護と連動している他の制度へも影響するとし、「最低ラインである生活保護の基準が上がれば、一般の人の生活水準も上がると思う。日本人全員の問題だ」と力を込めた。
 名古屋市の女性(72)は「感無量だ。一刻も早く引き下げ前の基準に戻してほしい」と話した。内河恵一弁護団長は「判決は獲得できる最高の形だったのではないか」と満足そうに語った。
 法廷には多くの支援者が駆け付け、判決言い渡しが終わると拍手が起き、「すごい判決だ」などの声が上がった。 (C)時事通信社