2011~20年に生まれた新生児約190万人について、妊娠期間と気温の関係を東京医科歯科大の研究グループが調べた結果、極端な寒さや暑さが早産につながる恐れがあることが分かった。詳しい理由は明確ではないが、研究グループは「極端な寒さや暑さを避けるよう意識して」としている。研究成果は国際科学誌の電子版に2日までに掲載された。
妊娠期間は一般に40週とされ、37週未満の出産が早産とされる。早産では、新生児がさまざまな病気にかかったり、発達に悪影響が出たりする恐れが高くなるとされる。
東京医科歯科大の藤原武男教授(公衆衛生学)らは、日本産科婦人科学会のデータを使い、沖縄を除く46都道府県で生まれた約190万8000人について、早産と気象庁公表の気温との関係を調べた。46都道府県の年間平均気温16度を比較基準とした。
その結果、出産数週間前の一日の平均気温が低いほど、早産リスクが高い傾向が出た。平均気温が0.8度の場合、早産リスクは基準より14.5%高かった。調査では約21万4000人が早産だったが、うち約5000人は母親が16度未満の寒さにさらされたことが原因の可能性があるという。
同様に、気温が高いほど早産リスクも上がり、平均気温が30.2度では8.2%上昇した。寒さ暑さの影響は、35歳未満の妊婦でより強く出た。
人間の体は、寒いと血管が収縮し、暑ければ汗をかいて脱水が進むため、こうした体への負担が蓄積して影響したことが考えられるという。藤原教授は「早産リスクを減らすため、妊娠した場合は極端な寒さや暑さを避けることをより意識してほしい」と話している。 (C)時事通信社
寒すぎ・暑すぎ、早産リスク増=新生児190万人調査―東京医科歯科大
(2023/12/02 04:59)