アルツハイマー病治療薬レカネマブの保険適用が承認されたことを受け、認知症患者の団体からは13日、「必要な人が薬を使えるという意味で、大きな一歩になった」と期待を寄せる声が上がった。検査体制の整備や、投与対象者が限られる点について正確な情報発信を求める意見もあった。
 東京都内で記者会見した「認知症の人と家族の会」の鎌田松代代表理事らは、症状を一時的に改善する既存薬しかない中、レカネマブは進行抑制に道を開くことが期待されると指摘。「認知症を取り巻く現状の大きな転換だ」と強調した。
 ただ、患者の自己負担に上限を設ける「高額療養費制度」が適用されても一定の負担が生じるほか、脳内に蓄積した原因物質を検査する施設は限られることなどから、「安心して治療が受けられる体制整備をお願いしたい」と述べた。
 「日本認知症本人ワーキンググループ」の藤田和子代表理事は取材に、「新薬をきっかけに、より長く自立した生活を送る可能性が高まる」と期待を寄せた。一方で、「誰もが経済的に不安なく選択できるかは疑問だ」と述べ、投与対象が認知症予備軍の軽度認知障害と早期アルツハイマー病患者に限られる点についても「過剰な期待とならないよう丁寧に説明することが不可欠だ」とした。 (C)時事通信社