治療・予防

普及が徐々に進むバイオ後続品 
先行品と同じ有効性・安全性

 医師が処方する医薬品で、新薬の特許が切れた後に同じ成分で作る「ジェネリック医薬品」。国の使用促進策もあり、医療機関や薬局での積極的な採用が進んでいる。近年、それと似ているようで異なる「バイオ後続品」という医薬品が、がんや糖尿病、関節リウマチなどの治療に普及しつつある。どのような薬なのか、実際に患者に処方している井上病院(群馬県高崎市)リウマチセンターの井上誠センター長に聞いた。

 ▽高額なバイオ医薬品

 バイオ医薬品は、遺伝子組み換えや細胞培養の技術を用いて製造する医薬品。がん患者の延命など、化学合成で製造する薬よりも高い効果があるとされる。「関節リウマチでは、飲み薬(化学合成薬)で効果がない患者に使い、関節の症状の進行を食い止めることができます」と井上センター長。

 一方で、製造にコストがかかるため高額で、例えば関節リウマチにインフリキシマブ(商品名レミケード)という注射薬を毎月2本使うと、月額約16万円の薬剤費がかかる(2019年8月時点)。自己負担は1~3割だが、個人の家計も国の財政も圧迫する懸念がある。

 ▽薬剤費は3割減に

 そこで注目されているのがバイオ後続品だ。「バイオシミラー(類似)」とも呼ばれるように、ジェネリック医薬品と違い、先行品と全く同じ成分ではない。そのため、臨床試験で有効性・安全性が先行品と同等だと確認した上で発売される。 井上センター長は「私の処方経験でも、先行品と比べて有効性や安全性に差はなく、治療選択肢の一つとしています」と語る。

 がん、糖尿病、関節リウマチの治療など、バイオ医薬品9成分に後続品が発売されている(19年8月時点)。発売時の薬価(公定価格)は先行バイオ医薬品よりも3割安いので、医療費の削減が期待される。ただし、患者の自己負担額については「医療費助成制度の利用や薬の使用量などにもよるので、『減る可能性がある』と考える程度でよいでしょう」と井上センター長。

 例えば、高額な治療を受けた際、医療費が一定額を超えると自己負担が本来の額(1~3割)よりも安くなる「高額療養費制度」があるが、この制度を利用して先行バイオ医薬品を使用している患者が後続品に変更すると、医療費が一定額を下回って制度を利用できなくなり、逆に負担が増すことがあるという。

 患者が先行バイオ医薬品を選ぶか、後続品にするかの説明を受ける場面が、今後多くなる可能性がある。自己負担額がどう変わるかも含めて、確認するとよいだろう。(メディカルトリビューン=時事)

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