厚生労働省は22日、高齢者の虐待に関する2022年度の調査結果を公表した。施設職員らによる虐待件数は前年度比15.8%増の856件、自治体への相談・通報件数は16.9%増の2795件で、いずれも過去最多を更新した。介護報酬改定により、虐待防止の取り組みを事業所に求めていることもあり、問題の把握が進んだとみられる。
 職員らによる虐待の多くは、特別養護老人ホームなど入所系施設で発生した。特定できた被害者は1406人。暴行などの身体的虐待が過半数を占め、女性や要介護度3以上の人が被害に遭うケースが目立った。
 虐待の発生要因(複数回答)は「教育・知識・介護技術に関する問題」が56.1%で最も多く、次いで「職員のストレスや感情コントロールの問題」「組織風土や職員間の関係の悪さ、管理体制」が挙げられた。虐待が確認された856件のうち、同じ事業所で過去にも事例があったケースは182件あり、再発防止策が徹底されていない実態も明らかになった。 (C)時事通信社