白内障手術で、誤って別の患者の眼内レンズを挿入する事例が、2020年1月1日~23年10月31日に14件報告された。日本医療機能評価機構は12月15日付「医療安全情報(No.205)」を公表し、注意を喚起した。

各医療機関に合う予防法の検討を

 今回、報告された事例の主な背景は、①看護師が患者Aの手術中に患者Bの手術をしていると思い込み、患者Bのレンズ指示書と眼内レンズを照合して医師に渡してしまった、②患者Cの手術中、看護師は患者D用の眼内レンズを取り出し、眼科手術一覧表に記載されている情報と照合したが、患者氏名を確認していなかった、③手術中に看護師は複数の眼内レンズを置いたワゴンから患者Eのレンズを取り出したが、局所麻酔薬を出す指示を受けたためいったん眼内レンズをワゴンに戻し、その後、患者の氏名を確認せずに、患者Fの眼内レンズを医師に渡してしまった―といったものだった。

 こうした状況を受け、眼内レンズの誤挿入が発生した医療機関では、①手術を行う患者の指名とレンズ指示書の氏名を照合する、②レンズ指示書と眼内レンズの規格および種類を照合する、③照合済みの眼内レンズを置く場所を設定し、他のレンズと区別する―などの取り組みを実践しているという。

 日本医療機能評価機構は、医療事故の発生予防、再発防止に向け、各医療機関に合った取り組みを検討することを求めている。

(比企野綾子)