日本法医学会(神田芳郎理事長)は、能登半島地震の被災地で活動した法医学者による犠牲者131人の死因報告をまとめた。最多だったのは「家屋の倒壊による圧迫」の88人で、全体の7割近くを占めた。低体温で死亡した人も1割以上いた。
 法医学会は警察庁の要請を受け、大学教授ら専門知識を持つ法医を、1月5~23日に能登半島へ派遣。3日に現地入りした先遣隊を含む計20人が、珠洲市の犠牲者56人、輪島市64人、穴水町11人の死因などを調べた。
 家屋倒壊による圧迫死の内訳は、「圧死」が63人、「頸部(けいぶ)・胸部圧迫」12人、「頭部外傷」4人、呼吸運動が障害される体位から逃れられなくなった「体位性窒息」3人などだった。
 低体温で死亡した人は全体の16%に当たる21人。病死は4人、焼死は2人で、16人は死因不詳とされた。津波による溺死者はいなかった。
 低体温で亡くなった人は、倒壊家屋の中から脱出できず、寒さで次第に体温が奪われ凍死したとみられている。避難所から一時帰宅して亡くなった人も2人含まれていた。
 法医学会は「都会は耐震性の高い建物に建て替えが進んでいるが、地方は古い家屋のままで、日本の現状があらわになった。寒い時期に発生したことも(犠牲者の)数を増やす要因になった」と分析している。 (C)時事通信社