国立がん研究センターは25日、小児と若年層のがんについて、診断から10年後の生存率を種類別に初集計して公表した。14歳以下の小児では7~9割程度のがんが多く、大人より高い傾向が出た。同センターは「治療後も合併症などに対する長期的な支援が必要だ」と指摘している。
同センターは、2011年に全国のがん診療連携拠点病院などでがんと診断された患者約36万人のデータを分析。がんのみが死因となる状況を仮定して推定した結果、小児や大人を含む患者全体の10年生存率は53.5%だった。前回調査(10年診断)は53.3%で横ばいとなった。
小児の10年生存率を種類別に見ると、患者が多い白血病は86.6%で、リンパ腫91.5%、脳腫瘍71.7%、骨腫瘍71.4%などとなった。同様に調べた5年生存率と比べると、各がんで大差はなく、長期的な生存率は良好だった。
AYA世代(15~39歳)と呼ばれる若年層では女性のがんが多い。10年生存率は乳がんが84.0%、子宮頸部(けいぶ)・子宮がんが87.7%などとなった。5年生存率と比べると、小児がんと異なり5~6ポイントほど低くなるがんがある一方、大きく低下しないものもあった。
同センターがん対策研究所の石井太祐研究員は「多くの小児がんは生存率が高く、治療後の長期的なフォローアップが必要だ」と指摘。AYA世代については「妊娠や出産に影響するがんもある。がんの種類や年齢に応じ、きめ細かいケアが大切だ」と強調した。
同センターは、22年にがんと診断された患者数も公表した。新型コロナウイルス流行前の平均より2.3%増え、流行下の受診控えがさらに改善した可能性がある。ただ、子宮頸がんは早期発見割合が低下しており、同センターは必要な検診を受けるよう呼び掛けている。 (C)時事通信社
小児がん、10年生存率7~9割=大人より高め、長期支援必要―国立センター初集計
(2024/01/25 00:12)