認知症のがん患者への対応について、全国のがん診療連携拠点病院の約97%が苦慮した経験があることが3日、日本対がん協会(東京都中央区)の調査で分かった。患者が治療について判断できない例や、在宅で治療を支える家族がいないなどの回答が多かった。
 調査は昨年4~6月、全国の同病院451施設にアンケートを配布して実施。約57%に当たる256施設から回答が寄せられた。
 がん患者が認知症だった場合について、250施設(97.7%)が「対応で困ったことがある」と答えた。250施設に内容を複数回答で聞くと「本人が治療について判断できない」(93.2%)が最多で、「在宅での治療を支える家族がいない」(76.7%)が続いた。
 「栄養バランスや回数など適切な食事管理ができない」(63.1%)や「入院中のリハビリを拒否する」(59.8%)も目立った。衛生面の自己管理が困難なケースや、経済的困窮を指摘する声もあった。
 日本対がん協会は「超高齢化社会を迎え、認知症のがん患者が増えている。調査により、がん患者の認知症対策が途上にあることが浮き彫りになった」としている。 (C)時事通信社