国家公務員のテレワーク実施に関し、各省の統一基準をまとめた政府のガイドライン(指針)の概要が分かった。感染症などが拡大していない通常時でも、職員が申告すれば「実施を原則とする」ことを明確化。一方、新規採用者で出勤が必要と判断される場合などは認めない。政府が指針を策定するのは初めてで、今年度中に公表する。
 テレワークは新型コロナウイルスの感染拡大を契機に広がったが、これまで明確な基準はなかった。職員の多様な働き方を推進し、人材確保につなげたい考えで、地方公務員や民間企業などにも影響を及ぼしそうだ。
 指針では「業務運営上の支障がない限り、職員の希望に応じてテレワークを可能とする」と明記。窓口業務や交代制勤務は対象外とする。新規採用者や異動直後など、一定期間対面でのコミュニケーションが望ましいと管理職が判断した場合も認められないとした。
 職員には国家公務員法に基づき職務に専念する義務があるため、育児中や介護中の場合は第三者に預けるなどの対応を求める。
 管理職の留意点も明示。テレワーク中に一時業務を中断し、業務に支障が生じる場合は、職員に休憩や時間単位の休暇の取得を促す。一方、テレワークは業務と生活の区別が曖昧になりやすいことから、長時間労働が助長されないよう努める。
 内閣人事局の調査によると、コロナ禍の2020年度に在宅で勤務した職員は延べ約289万人で、19年度から約20倍に急増。人事院の有識者研究会が統一的な基準を示すよう求めていた。 (C)時事通信社