筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者に対する嘱託殺人罪で、医師大久保愉一被告(45)を有罪とした5日の京都地裁判決を受けて、患者団体などが京都市内で記者会見した。障害者団体「境を越えて」(東京)の理事長で、自身もALSを患う岡部宏生さん(66)は「判決内容は妥当だ」とした上で、「生きることを支え続けられる社会、人の命について深く考えられる社会になってほしい」と訴えた。
 「日本ALS協会」(東京)の相談役を務める増田英明さん(80)=京都府=は「この事件はただの殺人だ」と強調。「『死にたい』という一面的な言葉や状況だけを切り取ること自体が差別。医療者には安楽死が医療とは相反するものだと、はっきり示してほしい」と求めた。
 大久保被告から薬物を投与され、亡くなった患者女性=当時(51)=の父親(83)は「量刑がどうであっても娘が生き返るわけではない」とした上で、同じような状況に追い込まれる人を出さない社会づくりを望んだ。 (C)時事通信社