厚生労働省は、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」の利用低迷を打開するため、今月下旬にも都道府県向けオンライン説明会を開催する方針だ。昨年12月、現行の健康保険証を今年12月2日に廃止し、マイナ保険証に一本化する政令を決定。しかし、全国の利用率は依然5%を下回っていることから、国の支援策などを紹介し、取り組み強化を呼び掛ける。
 厚労省によると、1月時点のマイナ保険証利用率は全国平均で4.60%。都道府県別では鹿児島が8.44%で最も高く、鳥取7.19%、福井6.84%などが続いた。最も低いのは沖縄の2.31%で、愛媛(2.65%)、青森(2.88%)も3%未満だった。
 マイナ保険証を巡っては、情報のひも付けミスなどのトラブルが続出。自治体からは「信頼性が損なわれた」「メリットを丁寧に説明してほしい」との声が出ている。愛媛県の担当者は「紙の保険証と混在する状態が現場を一番混乱させる。早くマイナ保険証に切り替えたい」とし、国には「信頼回復を求めていくほかない」と語る。
 政府は2024年度診療報酬改定で、マイナ保険証の利用促進策を導入。マイナ保険証を使う場合、3割負担の患者の初診時の負担は3円とし、紙の保険証を使う場合(9円)より6円安くする。マイナ保険証で読み取った情報を診療に活用する制度を整えた医療機関には報酬を加算。医療機関・薬局窓口ではマイナ保険証の使用を促す声掛けも行う。
 説明会ではこうした取り組みを紹介。市町村別利用率の公表も計画しており、自治体担当者に対し、地域ごとの働き掛け強化を促す。 (C)時事通信社