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第4回inochi未来・WAKAZO適塾 「ヘルスケアデータインフラが引き起こす社会の変化とは」をテーマに開催

 10月29日、第4回inochi未来・WAKAZO適塾が開催された。今回は「ヘルスケアデータインフラが引き起こす社会の変化とは」をテーマに、講師として京都大学医学部附属病院医療情報企画部教授の黒田知宏氏と国立保健医療科学院研究情報支援研究センター長の水島洋氏を招いて講演が行われた。基調講演後、二人による討論も交わされ、大変充実した学びを得ることができた。(東北大学医学部医学科1年 新田友海)

第4回inochi未来・WAKAZO適塾

第4回inochi未来・WAKAZO適塾

 黒田氏の講演では、最初に医療データの扱いが進んでいるフィンランドでの情報銀行Kantaが紹介された。医療データを活用し重症化する前に病気を防ぐ先制医療の在り方について「病気からの守護霊を形成するようなものだ」という説明が印象的だった。

 ヘルスケアデータを十分に利活用できる社会にしていくために、仕組みを構築し維持していく必要がある。重要なのは社会が受容し、人々の信頼を得ることであると強調した。

 水島氏の講演では、昔のヘルスケアデータの扱い方との比較もありながら現行のデータの扱い方やさまざまな仕組みにいて紹介された。ブロックチェーンを用いたヘルスケアデータの統合プラットフォーム構築の展望が語られ、未来をイメージすることができた。

 オンライン化が進み、データの価値が高まってきていると感じる今日この頃、ヘルスケアデータの収集や利活用の仕組みやその課題について実際にかかわっている人たちからの具体的な話は大変刺激的であった。
どちらもデータを扱うことにおいて「信用」が重視されていた。どんなに画期的な制度でも、国民から信用されなければ成り立たないというところに難しさがある。これからの新時代を作っていくにあたって、国民の理解を得て信用を得るにはどうすればよいのかを模索していく必要がある。社会が大きく変わっても、医療が人間を扱うものであるという事実は変わらない。信用の獲得は未来を担う医療従事者として考えていかなければならない課題である。(了)

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