足の悩み、一挙解決

第18回 インソールはメガネや入れ歯と同じ
〜価格ではなく機能重視で〜 足のクリニック表参道院長 桑原靖

 シリコンやジェルのような軟らかい素材は、体重をかけると、へこんでしまうため、アーチを下から支えるという意味では不適切です。一方、足の裏の脂肪が薄いために痛みがあり、クッション性を持たせたい場合はお勧めです。

シダスジャパンのインソール「ラン3Dプロテクト」(同社提供)

シダスジャパンのインソール「ラン3Dプロテクト」(同社提供)

 時々、履くだけで痩せるとのフレーズで販売されているインソールもありますが、医学的な根拠に欠けるため、気になるところです。


 ◇インソールの有名ブランド

 アーチを支えるインソールでよく使われているのが、シダスジャパン(本社横浜市)の製品。既製品とオーダーメードの両方があり、スポーツから医療用途まで幅広いラインアップがあります。価格帯は既製品が5000円前後で、オーダーメードは1万円前後。

 スポーツ選手がよく使っているのが、フィートインデザイン(同東京)の「FEET in DESIGN(フィート・イン・デザイン)」という商品。オーダーメードで、価格帯は2万円台から4万円台まで。できれば、サンプルを試着して、実際の機能性を体感してから、購入することをお勧めします。

フィートインデザインのインソール「FEET in DESIGN」(同社提供)

フィートインデザインのインソール「FEET in DESIGN」(同社提供)

 インソールは作る側の理論や考え方によって、さまざまなものがあります。

 私たちのクリニックでは、個々の足に対して、最大限の機能を出せる形に、骨格配列を手作業で整えた上で、その状態のまま、足の裏の立体曲面の型を取ります。

 そして、体重が乗っても形状を維持できるよう、できるだけ硬い素材を用いて作製します。

 このとき、薄い素材で仕上げることで、いろいろな形の靴に入れて使用することが可能となります。

 ◇自分の足アーチにどれだけ適合しているか

 軟らかい素材で作製すると、さまざまな足に対して使うことはできます。でも、荷重がかかると、理想的な足の骨格配列を維持することはできません。

 一方、硬い素材であれば、それを維持することは可能です。しかし、少しでも立体曲面のポイントがずれると、圧力が一点に集中してしまい、痛くて使うことができなくなってしまいます。

 これはイメージ的なことですが、入れ歯を想像してみてください。軟らかい素材であれば、いろいろな形状の歯肉(歯茎)に適合しますが、かむときにグニャグニャしてしまい、しっかりとかめなさそうな感じがします。

 一方で、硬い素材であれば、顎の力がダイレクトに食べ物へ伝わり、機能的に優れたものになります。しかし、1カ所でも合っていない部分があると、全く使い物にならなそうな感じがします。

 また、安価だから機能性に乏しいとも限らず、高価だから優れているとも限りません。

 重要なことは、使う人のアーチの形にどれだけ適合しているか、どれだけ機能を引き出せるか、なのであり、インソールも入れ歯も、他の人が適合しているからといって、それが自分にも適合するとは限らないのです。

 ◇1~2週間は様子を見る

 インソールを使ってみて、以前よりも動きやすく、疲れにくく感じたら、合っていると判断します。

 インソールによって足の形が矯正され、今までとは違った筋肉の使い方をするようになるので、使い始めは思いもよらない場所が筋肉痛になる人もいます。でも、それは正しい反応なので、少し様子を見ることも大事です。

 インソールと靴はセットという発想を持つことは重要ですが、足に合っていれば、靴だけでもアーチの崩れは防げます。

 アーチが崩れるときは必ず、かかとの骨が横に倒れながら、内くるぶしが下に落ちるので、逆に考えると、靴が後ろからギュッとかかとをつかんでくれれば、これを阻止してくれます。

 さらに、甲の部分で固定し、前滑りなどを防止することで、足と靴が一体化し、歩くための補助道具として機能してくれます。

 自分の足に合った靴に出会えると、インソールが不要になることも多いのです。

(文・構成 ジャーナリスト・中山あゆみ)


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