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がん治療、臨床で実績
学生一人ひとりに寄り添う―近畿大学医学部

留学先でのカンファレンス

留学先でのカンファレンス

 ◇希望者に海外研修

 15年に改定した新カリキュラムは、6年間一貫のらせん型カリキュラムである。10個の教育目標が設定され、それぞれの目標の達成に向けたマイルストーンが各学年で設定されている。例えば英語なら、1学年で国際化についての科目と教養英語、2~4年では英語で医学を学ぶ。

 やる気のある学生には海外で学ぶ機会を与えている。この海外派遣プログラムには、欧州、東南アジア、北米の3つのコースがあり、4~5年生の夏期あるいは春期休暇中の約2週間、現地で臨床研修ができる。合計10人ほどの参加になるが、航空費、宿泊費、保険料はすべて大学が負担する。

 日本医学教育機構の分野別認証評価を17年度に受審。松村医学部長は「せっかく認証を得たので、USMLE(米国医師国家試験)を受験する卒業生が出てきてほしい」と期待する。

シミュレーションセンター1

シミュレーションセンター1

 ◇合宿で医師国試対策

 多様な学生一人ひとりにきめ細かな指導を行うため、教員がメンターとして付き、個別に対応しているのは、私立大学ならではの面倒見の良さだろう。成績不振で医師国試の合格が危ぶまれる学生に対しては、2泊3日から5泊6日の合宿を行い、その間は1日12時間、徹底的な補習が行われる。

 「2014年の新卒合格率が76.2%と残念な成績でした。この結果から国試対策を手厚くするようになり、それ以降は私学平均を上回る95%程度の合格率を維持できるようになりました」

 松村医学部長は地元大阪の出身。高校2年で医学部進学を決めた。「病気で苦しんでいる人を助けたいという気持ちがありました。医師の仕事なら生きがいを見だせると思いましたし、途中で目的を見失ったりすることはないかなと」

 専門は内科を選び、がんの治療に携わりたいと考えた。血液内科を選んだのは、「自分が診断した患者を、最後まできちんと治療したい」という気持ちから。

 当時、がんの治療は外科が主役で、内科が診断しても、いざ治療となると外科に依頼するしかなかった。しかし、白血病をはじめとする血液内科が扱うがんは内科での治療が中心で、診断から治療までの全てに関わることができる。


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