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がん治療、臨床で実績
学生一人ひとりに寄り添う―近畿大学医学部

インタビューに応える松村到医学部長

 ◇心に残る2人の患者

 これまでに印象に残った患者が2人いるという。一人は医学部卒業後4~5年目で受け持った急性リンパ性白血病の高校生。抗がん剤治療をして寛解状態=用語説明を=になったが、根治を目指して骨髄移植のために兵庫医大に紹介した患者だった。

 「20年ほどたってから、その患者が『あのとき先生に助けてもらったおかげで、完全に治って元気になりました』と病院にやってきたんです。本当に医師になって良かったなと思いました」

 もう一人は慢性骨髄性白血病の女性。治療法が進歩して亡くなる病気ではなくなったものの、治療中は妊娠できないことがガイドラインに定められている。出産を希望して富山県の病院から、紹介されてきた。

 「去年9月に無事、出産できました。途中、検査データをみるのが怖かったですし、生まれるまではずっと不安でした。だけど、わざわざ遠くから来られたら、何とかしてあげたいと思いますよ。患者さんの命を担保した上で、幸せや希望まで叶えてあげることが大切だと思いました」

医学部・病院

 ◇心を添えられる医師

 人工知能(AI)やロボット手術が開発されることにより、医療は大きく進歩し、変革期を迎えつつある。医師は、病理診断、画像診断などではAIに勝てなくなるかもしれない。しかし、病名告知から治療に至るまで、患者さんの心に寄り添い、共感し、励ますことができるのは、AIではなく医師なのだと松村医学部長は強調する。このような中で、これからの医師に期待するのは、「人間である医師だからこそできる、患者さんの心のサポートができる医師になってほしい」ということ。

 2023年、医学部と病院を大阪狭山市から堺市の泉北ニュータウンにある泉ヶ丘駅前に移転する予定だ。がんや循環器系疾患に対する高度先端医療を中心とした約800床の特定機能病院に生まれ変わる。
「関西国際空港にも近く、駅前というアクセス至便な立地です。地域の開業医の先生方としっかりと連携をとっていきたい。また、卒業生にとって魅力があり、卒業生が活躍できる病院を目指したい」と今後を見据える。

【近畿大学医学部 沿革】

1949年 大阪専門学校と大阪理工科大学を母体として、近畿大学設立
  74年 医学部設置
      ライフサイエンス研究所開設
  75年 医学部付属病院開院
      東洋医学研究所開設
  98年 腫瘍免疫等研究所開設
  99年 医学部堺病院開院
      医学部奈良病院開院
2005年 高度先端総合医療センター開設
  18年 医学部堺病院閉院
  19年 近畿大学病院へ名称変更

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