インタビュー

遅過ぎた「パンデミック」宣言 
新型肺炎、長期化の恐れも

 ◇死亡率は高い

 「特に、この1~2週間での欧州や米国での感染拡大がWHOを動かしたのだろう。イタリアが注目されるが、フランスやスペインでも患者は1000人を超え、人口の少ないスイスやデンマークでも400~500人と、人口比で考えれば日本を大きく上回る状態になっている」

パンデミックと認定したWHOのテドロス事務局長【AFP=時事】

 インフルエンザなどのウイルス感染症の診療に携わってきた神奈川県警友会けいゆう病院(横浜市)感染制御センターの菅谷憲夫センター長は、このようなアジア以外への感染拡大がWHOに影響を与えた、と分析している。

 同時に「現時点での死亡率は日本でほぼ2%、中国を除く世界全体では3%以上になる。日本での平年のインフルエンザの死亡率は0.02から0.03%だ。『スペイン風邪』と呼ばれ大流行の代表とされる1917年のインフルエンザでの日本の死亡率が1.6%とされることを考えれば、WHOがパンデミックと呼ぶのはむしろ当然だ」と新型コロナの危険性を強調している。

 ◇有効薬ない限り、短期で終息せず

 日本国内の動きについても「『それほど怖い病気ではない』といわれているが、本当にそうだろうか。確かに患者の8割は軽症で済むが、2割は入院が必要なほど重症化し、2%が亡くなる。このような感染症は最近にはなく、スペイン風邪以来の世界的な緊急事態ともいえる」と話す。

 現在のように発見される患者が一日に50人程度であれば医療機関も対応できるが、「イタリアのようなペースで急増すれば、日本でも対応しきれずに重症患者の死亡率が上昇してしまう。医療システムの崩壊を防ぐために、患者の増加を緩やかにするための対策が重要になる」と課題を示している。

 さらに、「ワクチンか有効な抗ウイルス薬が登場しない限り、ある程度の波はあっても、流行は長期化する可能性が高い」と予測する。このため、学校の一斉休校や大規模イベントの中止などの対策が短期間で終了できるとは考えず、1~2年にわたり、これらの対策の規模を拡大・縮小すればどうなるか、月単位で考えていく必要がある、と指摘している。(喜多壮太郎・鈴木豊)

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