治療・予防

片側の目の奥に激痛「群発頭痛」 
発作を予防し、症状を軽減 富士通クリニック頭痛外来 五十嵐久佳医師

 目の奥の辺りにキリキリと激しい痛みが生じ、涙や鼻水などの症状を伴う群発頭痛。その痛みは「焼け火箸で目を突き刺されるよう」「目をえぐられるよう」と言われ、生活に大きな支障を来す。症状や治療法、予防法について、富士通クリニック(川崎市)頭痛外来の五十嵐久佳医師に聞いた。

 頭痛以外の症状も

 群発頭痛は20~40歳代の男性に多い病気だが、近年は女性でも増えている。片側の目の奥に激烈な痛みが生じ、15分から3時間ほど続く。こういった痛みの発作が1日に数回毎日のように表れる。群発頭痛では、こうした群発期と発作のない小康期を繰り返す。国内有病率は10万人当たり56~401人。

 病気の特徴について五十嵐医師は「群発期には1~2時間の激しい痛みがほぼ連日起こります。激痛が起こる片側の目の充血や鼻水、鼻詰まりなどの自律神経症状を伴うのが特徴です」と説明する。

 頭痛発作は、睡眠中など同じ時間帯に起こりやすく、激しい痛みで目が覚めて救急搬送される人もいる。しかし、救急外来での診察時には痛みが治まり、脳のコンピューター断層撮影(CT)検査でも異常がないため、そのまま帰宅を促される例も多い。

 「症状が特徴的なため、近年は自分で調べて頭痛外来を受診する患者が増えています。一方で、内科や眼科など複数の医療機関を訪れても正しく診断されず、頭痛外来や脳神経内科に来て確定診断に至るというケースも珍しくありません」と言う。

 ▽薬剤と酸素吸入が治療の柱

 発作時の治療法は、頭痛薬のスマトリプタンを患者自身が皮下に注射(自己注射)する方法と、在宅での酸素吸入療法(HOT)が基本になる。これらの治療で激しい痛みは10~20分で鎮まるが、スマトリプタンを用いる場合、使用回数は1日2回という制限がある。「外出時は、持ち運びが可能なスマトリプタン、自宅では酸素吸入など、発作の頻度や生活スタイルに合わせて使い分けたり、併用したりすることで症状を抑えます」と五十嵐医師。

 発作の予防には、ベラパミルを服用するのが一般的だが、中にはステロイド薬がよく効く人もいるという。

 「群発期は1~2カ月にわたり頭痛を繰り返す人が多いのですが、発作が起きても対処する方法はあるので、脳神経内科や脳神経外科などの頭痛専門医を受診しましょう。また、群発期には発作を誘発する飲酒を控えるなど、生活習慣にも気を配ってください」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)


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