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気になる口臭、要因さまざま =多くは対処可、病気の場合も

 会話中に相手の口臭が気になると、自分自身はどうなのかと不安になることがある。しかし多くの人が気にしながらも、病院に行く人は極めて少ない。原因はさまざまだが、時には重大な病気のケースもあるので要注意だ。

 ◇「気になる」8割

 日本歯科医師会が10~70代の男女1万人を対象にした2016年の調査では、自分の口臭が気になった経験がある人は80.6%。他人の口臭も多くが気にしており、特に配偶者の口臭が気になったことがあるとした女性は83.6%に上った。歯周病や虫歯、入れ歯などが口臭の原因と理解している人は65.7%もいるのに、自分の口臭が気になった際に「歯科病院へ行く」は9.4%、「歯科医院以外に行く」は0.7%にとどまった。

 起床時や食後、口の臭いが気になるときは誰にもあるが、口臭は何が原因なのだろうか。大きく分類すると、さまざまな病気、口腔(こうくう)内の汚れ、生理的な口臭(口腔内の乾燥)の3タイプがある。

 ◇病気による口臭

 副鼻腔(びくう)炎になると、副鼻腔にできたうみが喉に落ちて口臭となる。胃腸が弱っているときは消化不良により食べ物が胃の中で発酵し、肺からの呼気と共に排出され嫌な臭いがする。

 また肝機能が低下すると、毒素の分解が十分に行われずアンモニア臭が発生。糖尿病インスリン分泌が低下し、血糖コントロールができなくなると甘酸っぱいアセトン臭、がんでも口臭が伴う場合があるという。

 病気が原因となる口臭では、早めに各専門医に相談することが重要だ。病気を治療すれば、口臭の改善も進む。

 ◇汚れ除去、手入れを

 口腔内の汚れが原因の場合も多い。歯に付着した細菌の塊「歯垢(プラーク)」や、舌の表面にたまった汚れ「舌苔(ぜったい)」が出す硫化水素。これらを放置して虫歯、歯周病などが悪化すると、細菌から悪臭の元である「メチルメルカプタン」も発生し、より強い臭いになる。

 口臭外来では、直接医師が患者の呼気を嗅ぐ官能試験、機械で口臭の数値を調べる「ガスクロマトグラフィー検査」を行う。検査で口腔内の状態や原因、人が自分の口臭をどう感じているかが分かるという。

 鶴見大歯学部付属病院の中川洋一歯科医師によると、口臭外来を受診する患者のうち、実際に人が気になるほどの口臭は6割程度。日々の手入れを正しく行うことで、かなりのケースは解消されるという。

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