治療は時間との勝負
人食いバクテリア
◇症状あればすぐ受診
溶レン菌にはペニシリンがよく効くので、大量に投与し、血中で一定の濃度を保つ治療が行われる。壊死性筋膜炎を起こしている部分は、血液の循環が悪くペニシリンが届きにくいため、切開して壊死している筋膜を除去するなどの外科的治療が行われる。「治療は時間との勝負です。早期に治療するほど、生存率が高まるという報告もあります」
年間100~120人ほどだった患者数が増えた理由として、①医療現場でよく知られるようになり、診断されやすくなった②発症しやすい高齢者が増加した③原因不明の発熱や敗血症の疑いで、血液培養の実施件数が増えた―の三つが考えられるという。「ただし、本当に増加傾向にあるかどうかは、長期にわたる情報収集と菌の解析が必要です」と阿戸部長。
予防は他の感染症同様、手洗いの徹底が基本となる。「STSSは早期診断と適切な治療が不可欠です。必要以上に恐れることはありませんが、疑わしい症状が出たら、一刻も早く医療機関で受診を」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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(2017/04/04 13:25)