インタビュー

梅毒、尾上泰彦医師に聞く(上)=患者急増、4000症例突破


 ◇無症状でも強い感染力

 ―感染したらすぐに分かるのか。

 尾上 梅毒は症状によって第1期から第4期まで四つのステージに分類される。初期である第1期は接触してから3週間後、3割の人に陰部、口腔内、口唇部などに硬いしこりができる。人によっては股の付け根のリンパ節が腫れることもある。それまでは何の症状も表れない。痛みもかゆみもなく、自然に症状がなくなる。残りの7割の人は無症状なので気付かないことが多い。この時期は感染力が強く、他の人に感染する可能性が高い。知らないうちにパートナーに感染させているケースも多く、これが感染拡大につながっている。さらに妊娠中のパートナーに感染すると、胎盤を通して胎児に感染する。これは「先天梅毒」といって区別され、死産、早産、奇形など、胎児や新生児にさまざまな影響が及ぶ。

 ―それ以降はどういう経過をたどるのか。

 尾上 さらに3カ月放置すると病原体が体中に回り、第2期の症状として体全体や手のひら、足の裏に赤い発疹が出る、あるいは肛門にいぼができる。ほとんどの人はこの段階で異常に気付き、皮膚科で梅毒の診断を受けることが多い。この時点であれば、数週間の抗菌薬の服用で完治する。ただ、かゆみも痛みもないのが特徴で、治療しなくても数日から数週間で発疹は消えるため、ここでも放置されることがある。
 第3期の症状が表れるのは、その数年後。皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)が発生することがある。皮膚が溶けだし、外見的にもすぐ分かる症状が表れるが、かゆみも痛みもない。また、心臓、血管、脳などの体全体の臓器にさまざまな影響を及ぼし、第4期になると、死の危険性もある重篤な状態となる。現在は、治療のための抗菌薬が普及し、比較的早期から治療を開始する例が多い。第3期、第4期の晩期の梅毒に進行する人はほとんど見られなくなった。(ソーシャライズ社提供)

〔後半に続く〕梅毒、尾上泰彦医師に聞く(下)=感染拡大どう対処する?

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