治療・予防

複雑化する子どもの肥満=背景探り、個別に治療を

 小児肥満症は脂肪肝や脂質異常症、耐糖能障害などを合併しやすく、大人になってから生活習慣病を発症するリスクも高い。生活環境の多様化で肥満になる背景は複雑化しており、神奈川工科大学(神奈川県厚木市)の岡田知雄教授(医師)は「個別の状況に合わせた治療が必要です」と強調する。

 ◇母親の低栄養も原因

 子どもの肥満には母親の妊娠出産などの環境、食、成育、心の問題など、さまざまな要因がある。「遊び場の減少や、テレビやビデオ、スマートフォンなどを見る時間が長くなったことによる身体活動の低下、食の欧米化が進んで魚よりも肉を食べるようになり、家庭環境や経済的な理由からコンビニエンスストアやファストフードに頼った食事が増えていることも要因です」と岡田教授は指摘する。

 日本は実は、経済協力開発機構(OECD)加盟の35カ国中、低出生体重児の出生率が最も高い。「母親が妊娠中に低栄養だと、子宮内胎児発育遅延で低出生体重児になります。低出生体重児は、胎内環境の影響を受けて栄養をできるだけ体内で維持しようとする倹約モードになっているため、適正体重で生まれた子どもよりも脂肪の蓄積が進行しやすくなります」という。

 また、肥満児の増加には心の問題も大きく、「発達障害があると、一つのものに強いこだわりを示し、偏食になります。虐待や不登校、いじめなどの影響で過食になることも要因の一つです」と説明する。

 「(実測体重マイナス標準体重)/標準体重×100(%)」で算出する肥満度が、学童期で20%以上で軽度肥満、30%以上が中等度肥満、50%以上を高度肥満と言う。

 思春期にも肥満の状態が続くと、70~80%が成人期の肥満に移行して生活習慣病を発症するとされている。思春期は自我が芽生える時期で、行動が親よりも友人に影響されやすく、治療が難しくなることから、学童期での治療が重要となる。

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