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「遠隔診療」普及へ=患者の通院苦労解消

 ◇患者のモチベーション高める
 20年前、へき地や離島で治療を必要とする患者らをどうするかという課題などに対し、遠隔治療が条件付きで認可された。ただ、今のように誰でもインターネットに接続できる状況にはなく、技術面や費用面の問題があった。2015年、政府が経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に「遠隔医療の推進」を明記。同年、厚生労働省が事実上の解禁に踏み切った。

 遠隔診療が改めて注目されるようになったのは、へき地や離島などの「医療過疎地」の住民だけでなく、都市に暮らす会社員や主婦にとっても恩恵をもたらすという理由もあるようだ。健康が一番大切なことは当然だが、会社員が職場を離れることはなかなか難しい。また、5~6歳の子供を受診させたい主婦がもっと小さな弟や妹を連れて医療機関を訪れるのは、ひと苦労だ。

 来田院長は「通院の苦労がなくなることで、治療が必要な人に必要な治療をより届けやすくなる」と指摘する。患者側にとっても、治療を続けようというモチベーションを高めるメリットがある。頭痛や腹痛などの症状があれば、患者は自ら進んで医療機関を受診する。一方、「自覚症状が乏しい生活習慣病の高血圧や高脂血症(高コレステロール症)の治療や、禁煙したいと思っている人たちの場合は通院しにくい理由があるとモチベーションがぐっと下がる」(来田院長)からだ。

 治療を続けるということは、患者側だけでなく、診療機関側にとってもメリットがある。来田院長は「遠隔診療によって患者が通院を継続する割合が高まる。予約のキャンセルも減り、治療実績が向上すると同時に、医療側の経営安定にもつながる」と指摘する。確かに、仕事上の急な事情や家庭内の都合で受診予約をキャンセルすることは少なくないだろう。記者も仕事柄(言い訳にすぎないが)、過去、医師の皆さんに大変ご迷惑をかけてきた。


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