オンライン会議で健康教育
~高齢者が協力し学ぶ(大阪公立大学大学院 上村一貴准教授)~
オンライン会議システム「Zoom(ズーム)」を用いて、健康に関する知識とスキルを高齢者同士が協力しながら学ぶ教育プログラムを、大阪公立大学大学院リハビリテーション学研究科(大阪府羽曳野市)の上村一貴准教授らの研究グループが開発した。プログラムの効果について話を聞いた。
介入による1日の総身体活動時間への効果
◇アクティブ・ラーニング方式
上村准教授らはこれまでの研究結果から、一方向の講義形式でなく、参加者側の主体的な学びを促す教育手法「アクティブ・ラーニング」が、高齢者の健康教育にも有効である可能性を見いだした。
例えば「ウオーキングを効果的に継続するには」といった課題に、それぞれの高齢者がインターネットや本で調査。その後、調べた情報をグループワークで発表、共有しつつ行動に結び付けることで、健康情報の活用能力の向上、身体活動の増加、心身機能の改善が認められたという。
しかし、コロナ下で対面での実施が難しくなったため、オンラインによる方法を考案した。「感染回避だけでなく、手間なく遠方からも参加できるため、継続しやすくメリットは大きい」
◇身体活動が22分増加
上村准教授らは今回、65歳以上の29人を対象に、オンライン式の健康教育プログラムを試験的に実施。週1回90分間のアクティブ・ラーニング方式のプログラムを12週間続けた15人(介入群)と、電子メールによるテキスト配布のみを行った14人(対照群)に分けた。
介入群では、出席率が平均97%と高く、健康問題で中止した1人を除く14人全員が12週間継続できた。
1日の身体活動時間の合計については、介入群が12週間のプログラム終了直後、対照群に比べて約22分長くなり、この差は6カ月経過時点でも維持された。座っている時間の割合は、終了直後、6カ月後ともに介入群が対照群より低かった。
上村准教授は「人との交流は、健康行動(健康の維持、回復、向上に関連する行動パターン)の変容や継続をサポートする上で不可欠な要素。今後、多くの高齢者を対象に、このプログラムの有用性について検証を進め、普及を目指したい」と話す。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/11/14 05:00)
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