Dr.純子のメディカルサロン
夏の終わりのメンタル対策
猛暑が続いた今年の夏、夏休みを取って休んだものの、仕事に戻ると何かだるいなあという声も聞きます。夏休みも終わりに近づき暑さが続く中で学校が始まるのを不安に感じ、休み明けは不登校になる子どもが増える時期です。
大人も子どもも夏の終わりは適応に苦労するものです。そこで、夏の終わりを乗り切る対策について考えてみたいと思います。
夏休み明けは不登校になる子どもが増える(イメージ)
不調を起こす要因は、生活リズムの乱れです。休みの間、夜遅くまで起きていて朝起きるのが遅くなることで生活リズムが狂いやすくなります。特に今年の夏は暑かったので、夕方や夜になってから活動して生活時間が後退した方も多いでしょう。
こうした状況からまた仕事や勉強に戻ろうとしても時差ボケのような状態に陥り胃腸障害や集中力低下などが起こりやすくなります。このため、生活リズムを素早く元に戻すことがポイントです。メンタル対策のスタートは身体のリズムを整えることから始めるのがいいかもしれません。
対策1=起きる時間を決める
起床時間を普段通りに戻すことが必要です。仕事や学校のある平日と同じにします。休み中も普段より2時間以上遅くならないようにすると、生活リズムは乱れにくくなります。夜早く寝ようとしても難しいものです。まずは朝早く起きることを目指しましょう。朝に太陽の光を浴びることで脳の松果体から睡眠を導くホルモンのメラトニンが放出され、14~16時間後に自然に眠くなります。起きる時間を一定にするとそれが習慣化して自然に通勤や通学の時間に起きることにストレスを感じなくなります。
対策2=スマホやPCの終了時間を決める
休みだと、スマホやパソコンをいつまでもつい見ているものです。「スマホ締め切り時間」を決めてその時間が来たら電源をオフにする習慣をつけてみることも必要です。
対策3=食事時間を一定にする
休み中は食事時間が不規則になりがちです。間食を減らし食事時間を決めていつも通りにすることで、生活リズムが整いやすくなります。食事時間を一定にすることは時差ぼけ対策にも有効です。おいしい朝食を用意し、それを楽しみに起きられるような工夫をした方もいます。
対策4=夏バテ予防にマグネシウムの補給
夏場は汗で身体から水分だけでなく電解質や水溶性ビタミンが失われます。塩分が失われるのはよく知られているのでスポーツドリンクなどを飲むことは実践されていますが、電解質、特にマグネシウムの補給の必要性は知られていません。しかし、マグネシウムが不足するとうつ状態を誘発したり、疲労回復が遅れたりすることが報告されています。マグネシウムは日常的に健診などで測定する機会がないのですが、日本人のマグネシウム摂取量は近年、慢性的に不足しているということです。
マグネシウムは、海藻、ナッツ、大豆製品をはじめ、枝豆やオクラなど夏野菜にも多く含まれています。日本人の不足摂取量は100mgほどだといいます。不足分を補給するには、枝豆は30gで60mg、しらす干しは大さじ1杯で130mg、納豆1パックで100mgということですから、ビールのおつまみに枝豆などを加えてみると手軽に補給できるでしょう。
ストレッチなどで適度な疲労感が起こり、夜の寝つきがよくなる(イメージ)
対策5=身体を動かす時間をつくる
昼間時間を決めてストレッチをしたりすることで適度な疲労感が起こり夜の寝つきをよくすることができます。また、リラックスすることで交感神経の緊張を緩め、睡眠の質を改善できます。戸外での運動が難しい場合はバランスボールやストレッチポールなどを活用して狭い場所でもできる身体を動かす習慣をつくることも役立ちます。スマホでヨガやストレッチを見ることで習慣がついた方もいます。
対策6=足湯でリラックス
夏は湯船に漬かるのはやめてシャワーだけという方も多いと思います。シャワーだけの方でもリラックスして交感神経を緩めるには足湯などが役立ちます。足湯用の深めの容器にお湯を入れ、足首から下だけ7~8分ほど入れるとリラックスできます。この時、エプソムソルト(硫酸マグネシウム)や塩化マグネシウムフレークを入れるのも皮膚からマグネシウムが吸収されてリラックスに役立つとされています。
対策7=不調のサインを知っておく
お子さんや家族など身近な人の不調に気が付くこともこの時期に必要でしょう。
不調のサインとして食事の量が減っている、アイスや甘いものばかり食べている、朝起きてこない、だるそうだ、などは心の活気が低下しているサインとも言えます。大人の場合はお酒の量が増える場合も要注意です。「いつもと違うな」と感じるこうしたサインが出た時に声掛けして生活リズムを整え、早めに対策をしておくことが必要です。(了)
(2024/08/26 05:00)
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