身体と認知機能の維持を =健康寿命を延ばすには
2015年の日本人の平均寿命は男性が80.79歳、女性は87.05歳。しかし、健康上の問題で日常生活が制限されることがない「健康寿命」は、男女共にそれより10年程度短いと言われている。健康寿命を延ばすにはどうしたらよいのか、聖マリアンナ医科大学病院(川崎市)腎臓・高血圧内科の柴垣有吾教授に聞いた。
◇歩くことで体力維持
高齢者は心疾患や糖尿病などの慢性疾患を持っていることが多く、入院などを機に病状が急激に悪化する恐れがある。「入院を機に身体機能や認知機能が低下すると、在宅への復帰が困難になったり、老老介護で介護者が支え切れず共倒れになったりする事例が少なくありません」と柴垣教授。
特に、食事や排せつなどの日常生活動作(ADL)を他人に頼らなければならなくなると、人の尊厳は傷つく。こうした事態を防ぐには、体と頭の機能の維持がポイントになる。
「入院しても、自分の意思で最低限の行動ができる身体機能を維持するには、普段から歩数計を着けて歩くなどして基礎的な体力をつけることが重要です」
歩くことは日常生活の中ででき、歩数計の歩数が「成果」として意識されることで無理なく継続できる。認知機能は、外に出て人と触れ合うことが良い刺激となる。社会との交流を失わないためにも、まずは外出できる身体機能の維持が重要だ。
「例えば、青信号が点灯している時間内に横断歩道を渡り切れるなど、日常生活に必要な運動レベルを維持することを意識してください」と、柴垣教授は説明する。
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(2017/11/16 12:09)