小児の包茎に伴うトラブル=お母さんは過敏にならないで
思春期までの男児はいわゆる「包茎」の状態が正常だが、包茎が原因でかかりやすい病気もある。自治医科大学とちぎ子ども医療センター(栃木県下野市)小児泌尿器科の中井秀郎(なかい・ひでお)教授に、予防と治療について聞いた。
◇尿路感染症の原因に
大人の仮性包茎や真性包茎と異なり、小児の包茎の治療は、それに伴う病気がある場合や発症リスクが高い場合に限られる。乳児期はおむつの中で便が包皮に付着し、細菌が包皮の裏側にたまることがある。体力が落ちていると、細菌がぼうこうから腎臓に入って尿路感染症になることがある。
「尿路感染症にはぼうこう炎や腎盂(じんう)炎などがあり、女性に多いですが、1歳未満は男児の方が多い」と指摘する中井教授。便まみれになったままおむつを換えず、長時間放置すると、尿路感染症にかかりやすくなるので注意が必要だ。
幼児になっても亀頭が露出しにくいと、不潔になりやすく、包皮炎を発症することがある。包皮の腫れ、排尿初期の痛み、かゆみが主な症状だが、まれにうみがたまって手術が必要になるケースもある。
「幼児の場合、陰茎を珍しがって触っているだけの場合もありますが、注意しても触っているようであれば、炎症によるかゆみの可能性があります。かゆみや排尿痛があるときは、抗生物質の短期服用が有効です」と中井教授は説明する。
尿路感染や包皮炎の予防には、家庭での衛生管理が重要だ。「赤ちゃんのおちんちんが便で汚れたらせっけんで軽く洗い流すこと、幼児期には、入浴時に軽く包皮を伸ばしてせっけんでよく洗うことが大切です。ただし、やり過ぎは包皮を傷つけてしまったり、せっけんかぶれの原因になったりすることがあるので注意してください」
(2018/01/31 10:39)