医学生こーたのひよっ子クリニック

第6回 CTを撮りたがる医師

「風邪でクリニックにかかったらお会計が7000円もした」

僕の友達A子さんが風邪をひいたときの話である。

幼少期からかかりつけだった医師が年齢を理由に引退したため、A子さんは新しく家の近くにできたクリニックへと向かった。そのクリニックのホームページを見たところ、外観と内観は新築のためとても綺麗(きれい)で、院長は大きな市中病院の耳鼻科部長を務めたベテランの医師という、誰もが行きたがるようなクリニックに思えた。「これから何度かお世話になるかもしれないな」と期待を寄せていたが、その期待は大きく裏切られた。

A子さん「風邪をひいてしまいました」
医師「口を開けてください。あー腫(は)れてますねー、現在妊娠の可能性はありますか?」
A子さん「ありません」
医師「そうですか。ではCTを撮りましょう」

このようにしてA子さんはなんの詳しい説明もなくCT検査をされた。CT検査というのは放射線を使うため身体への侵襲があり、金額も決して安価ではない。十分な問診や診察の後、医師が必要と判断し、さらに患者への説明と同意があって、初めて行われる検査である。医療に関わっている人であればおかしいと感じて断ることができるだろうが、そうでない人は断れないだろう。開業資金返済のためのお金儲(もう)けであるといわれても仕方ないと思う。

このように安易に検査を行うことは、当然患者さんに経済的な負担をかける。そしてなにより、社会保障費として国の財政を圧迫する。財政圧迫によって保険診療に対する規制が強まれば、本当にCTが必要な患者さんに対しても、検査を行えない事態が想定される。

日本は国民皆保険であるため、他の国と比べると患者さんが安く医療を受けられる国である。それを逆手にとって、何でもかんでも医療行為を行うことは決して許されないことだ。今回の医師を反面教師にして、限りある医療費を大切に使うという当たり前のことを忘れずにいたいと感じた。


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